授業アンケートの重要性と信頼性


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授業アンケートは、本当に信頼できるのか?

授業アンケート 重要性と信頼性
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「評価」ではなく「アンケート」。

現在様々なレベルで取り組みが行われている教育改革において、先生の授業力の向上と授業改善は小学校から大学までの共通の重要課題の一つとして全国的なレベルでクローズアップされています。平成16年度からは東京都教育委員会が授業改革推進の一環として、全都立高校において「生徒による授業の評価」を実施することを義務付けています。
「生徒による評価」に対し、「生徒に授業を評価する力があるのか」という意見は最も多くの先生から発せられる疑問です。この意見が出る原因は「評価」という言葉そのものにあります。実態は「評価」ではなく「アンケート」ととらえるべきなのです。

生徒は授業を選べない。

例えば、電機メーカーは自社で開発した洗濯機について、消費者にモニターになってもらい、使い勝手についてアンケートを採ります。実際の洗い上がりがどうか、操作は分かりやすいかなどについて、意見を吸い上げ、製品の改善、改良に利用します。
「生徒による授業アンケート」もこれとまったく同じです。ユーザーである生徒にメーカーである先生方が開発・製品化した「授業」というサービスについてアンケートをとる仕組みと考えれば、「生徒に授業を評価する力があるのか」という意見はまったく的外れなものであることがお分かりいただけるはずです。
一般消費者はその商品が良くなければ購入しませんが、生徒は授業が分かりにくいから受けないという訳にはいきません。授業アンケートの重要性がここにあります。

アンケート結果は本当に信頼できるのか?

私たちが今まで実施してきた数多くの実施例は、生徒による授業アンケートが如何に有益で信頼に足るデータを提供してくれるかを如実に語っています。その例を以下にご紹介します。
理想的な授業アンケートの実施方法は1学期の終わりと2学期の終わりにそれぞれ1回、年2回実施が望ましいとされています。これは1学期の終わりに実施したアンケート結果に基づく授業改善を2学期に実施し、その効果を2学期の終わりに確認、さらにその結果を3学期の授業に反映することで年間を通した授業改善が図れるからです。
こうした年2回の授業アンケートを実施したときに、よく発生する現象があります。それは第1回目の教科毎の集計結果で最良の結果を得た教科が、第2回目のアンケートでは唯一つ大きくスコアを落とす現象です。(下図参照)

結果が語る「最も信頼できる生徒の目」

最も信頼できる生徒の目
この現象は特に授業アンケート初年度に良くみられますが、なぜでしょうか。
上の図ではほとんどの教科が前回より今回のアンケートで評価を伸ばしている中で、前回トップの評価を得た国語だけが大きく評価を下げています。国語の先生方の授業の仕方が突然悪くなるということは考えられません。これは国語の先生方が何もしなかったということなのです。他の教科では前回授業アンケートの結果を受けて、様々な授業改善の取り組みを行った中で、前回トップであった国語は現状維持をしたと考えられます。授業改善の取り組みがされると、同時に生徒の授業に対する要求レベルも上がってきます。こうした中で何もしなかった国語が相対的に評価を下げる結果となるのです。
このアンケート結果を最初に目の当たりにしたときは、私たちにとってまさに衝撃でした。生徒が先生の授業改善の努力に対してきちんと反応していること、授業を見る力があること、そして何より、生徒自身も授業に対する要求レベルを上げると言う成長を遂げている事に授業アンケートの効果を実感した瞬間でした。
授業改善を行った結果がアンケートにきちんと反映されることはアンケート結果自体の信頼性を証明するものです。
アンケートにまじめに回答しない生徒も確かに存在します。それは回答のマークの仕方を見れば分かります。しかし、こうした生徒は全体の1%程度、多くても2%程度であり、アンケート全体の結果を左右するものではないことも付け加えておきます。

甘い先生にいい評価が出ることはない。

甘い先生にいい評価が出ることはない
授業アンケートに対する「生徒に迎合する先生や甘い先生がいい評価を取るのではないか」という意見も多々聞かれるものです。これについても実際のデータが答えを出してくれます。
上図はある学校におけるアンケートで「あなたはこの授業を受けて学力や技能の向上を実感できますか?」という質問と「教材や課題の分量は、あなたの学力・技能を効果的に伸ばすのに適切ですか。」という質問についてのクロス集計を行った結果です。
横軸の「教材や課題の分量」は0(ゼロ)が「ちょうど良い」で右にいくほど「多い」又は「多すぎる」の回答が多くあることになります。これをみると「教材や課題の分量」と「学力の向上を実感」できることがほとんど相関性がないことが分かります。むしろ全体の点の分布は右肩上がりの傾向(つまり教材や課題の分量が多いほうが学力や技能の向上を実感する傾向)にあることが観察されます。
この結果を見る限り、教材、課題の分量の少ない先生に対していい評価を与えるような意図的な回答が行われていないことは明らかです。

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